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航空機事故の場合には、あらかじめ定められている運送約款にもとづいて補償責任(乗客側は逸失利益を賠償してもらいたいが、航空会社側は被害を補償しようという考え方に立つ)を果たすことになる。
航空券の裏面に書かれた運送約款には、国際航空旅客に対しての補償責任はワルソー条約にもとづいて行われ、補償に上限のあることが記されている。

ワルソー条約とは航空事故における航空会社のS航空事故の補償額をチケットに明示せよ責任を初めて規定した国際条約で、1929年にポーランドのワルソー(ワルシャワ)で開催された第加回国際航空私法会議によって作成された「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」のことである。
航空機事故に遭遇したときに乗客側は、航空会社側の過失を立証しなくとも、損害を受けたことを証明すれば航空会社に賠償を請求できるが、補償額の上限をn万5000フランス金フラン(現代では1万米ドル)に抑えられた。

当時の条約制定の目的は、支払い能力に疑問のあった航空会社から乗客を守ること、訴訟のためには不可欠な航空事故の因果関係を個人の力で立証できないことへの対応策であった。
同条約は弼年に発効し、世界中の国が批准しており、今でも国際航空運送約款の基本となっている。

ワルソー条約によれば、「乗客は航空券を購入した時点で、航空会社の有限責任に同意したものと見なされる」ことになっている。
そして乗客は航空会社がどの協定を結んでいるかを要求により閲覧できることになっている。

しかしほとんどの乗客はそのような同意をしていることさえも知らずに搭乗しているが、驚くことにエアラインに問い合わせても窓口、予約担当者はこの件について即答できない。
ひどい場合は条約の存在そのものを知らない担当者もいる。

このような状況下で乗客側にだけ契約関係の発効を迫るのには無理がある。
ところでなぜn万5000フランス金フランが1万米ドルとされるのだろうか。


ワルソー条約の作成された朗年当時のフランスは金本位制で、1フランス金フランは純度が1000分の900の金筋・5ミリグラムと定められていた。
しかし、冊年に発足したフランスのオリオール内閣は、金本位制から離脱し、その後、フランスは4回にわたってフランの切下げを行なった。

そして、今では世界の基軸通貨が変動相場制をとっているので、当時の金フランを現在の通貨に換算することができなく年には補償限度額をn万米ドルとしたグァテマラ議定書、弼年には金額の表記を変動性通貨のSDR(国際通貨単位U特別引き出し権。
兜年4月1日現在1SDRU178.15円)表記とし、的万SDRとしたモントリオール第4議定書なども作成されたが、いずれもいまだに発効していない。

他方、先進国、特に強い通貨の国では、国民に不満が強く、別年ごろには、各社が自社規定を設け始めた。
スイス航空の別万スイスフラン(約1780万円)を筆頭に、J、A、日本エァシステム、英国航空、エール・フランス、オーストリア航空、カナディアン航空、カンタス航空、キャセイ航空、KLM、SAS、大韓航空などが皿万SDR(約1780万円)、ルフトハンザ航空が賜万マルク(約1130万円)、アリタリア航空が9万ドル(約1210万円)などだ。

しかし、そのため、現代の国際法の通説では氾年にIMF(国際通貨基金)がつけた金の最終公定価格1オンスU蛇・22米ドルを基準に換算し、1フランス金フランは0.08米ドルとする。
したがって、ワルソー条約のn万5000フランス金フランは1万米ドルに置きかえられる。

別年代から、航空輸送の増大と貨幣価値の下落に対応する形で、ワルソー条約の改正の動きが活発化し、弱年にハーグで補償額の上限を妬万フランス金フラン(2万米ドル)とする議定書(改正ワルソー条約)がまとまった。
ところがアメリカが改正ワルソー条約に満足せず、限度額を恒久的には刈万米ドル、暫定的には7万5000米ドルまで引き上げなければワルソー条約を破棄すると開年暮れに通告した。

そのため関係者がモントリオールに集まって協議し、「米国を発着する国際航空便に限限度額を7万5000米ドル(訴訟費用を除くと5万8000米ドル)とする」妥協案をまとめこれが舶年発効のモントリオール協定で、アメリカは自国乗り入れのすべての航空会社に適用後の事故補償では、遺族の最低補償限度額への不満は強く、SDRでも解決しない事例が増えてきている。
日本企業は加年に国内線で、舵年に国際線で限度額を撤廃し、世界に働きかけを行なってきた。

その結果、ここへ来て、世界のエアラインも補償限度額の大幅改定に向けて動き始めている。
一つは、限度額を妬万フランス金フラン(2万米ドル)とする改正ワルソー条約では、時代に合わないとの認識から、ICAO(国際民間航空機構)が中心となって、加万SDRまでの損害は絶対責任として航空会社に負わせ、それ以上の補償額には責任の取り方の原則を定めようとするものだ。

こちらは外交会議、条約としての手続きが必要なので、順調に進んでも2〜3年はかかりそうだ。
もう一つは、IATA(加盟航空会社数約230社)が音頭をとって進めているもので、各社が自らの責任で補償限度額を撤廃しようという動きだ。

「国際線の補償限度額撤廃に関する協定」には、日本に乗り入れている外国社羽社を含む乃社が署名を終わり、アメリカ独禁法の適用除外の認可を%年U月に取り付けた。
署名社は、自国政府の認可によって発効するため、こちらの実現は早いものと見られている。

しかしながら、世界中の航空会社の数から見れば、署名社の数が少ないこと、安全性に問題のある企業が参加していないこと、などの問題が依然として残っている。
相変わらずワルソー条約や、改正ワルソー条約(国の数としては最も多い)しか批准せずに低い補償額のままの航空会社(国)もあるのは、それらの国々が自国の物価水準では充分であることと、高い補償金は現実問題として払えない、と抵抗しているためだ。


ここにも南北問題が表面化していて、世界のエアラインが一本化されていないが、被害者が適切な額を補償されないのは困る。
事故が起こらないという保証はないのだから、航空券の裏面には適用される協定と、補償額の上限を明示すべきだ。

このところ飛行機事故の件数はかってとは比較にならないほど減っている(1000万飛行時間当たり死亡事故件数は7件、100億人キ口当たり死亡乗客数は5人。
いずれも%年実績、ICAO資料)。

安全な乗り物になったのだが、空に浮かんでいる以上、若干の危険は覚悟しなければならない。
今、世界の航空界では、賠償額の引き上げが検討されている。

定額の限度を大幅に引き上げようというものだが、先進国と発展途上国との間で人命の価値が異なるために接点が見つからない。
先進国は「その額では遺族が生活できない」と主張するのに対して発展途上国は「そんなに支払ったのでは航空会社の屋台骨が揺らいでしまう」と反論する。

この問題を解決するには、「保険の掛け率」の考え方を適用する以外にはない。
乗客の支払った運賃に倍率をかけ、支払った通貨で賠償するのだ。


例えば、東京lロンドン線では運賃の100倍とする。
エコノミークラスの片道運賃は帥万7100円なので100をかけると賠償額は3071万円、ビジネスクラスは“万6200円なので4462万円、ファーストクラスは田万2800円なので8128万円となる。


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